いい時も悪い時も最善手

将棋の名人戦 渡辺名人- 斎藤八段 第3局をアベマで見ていた。 角換わりから先手の渡辺名人が飛車を振り、振り飛車のような展開になった。私にわかるのはその程度で、どちらが優勢かは画面のAI評価値を見るしかない。どちらにとってもぎりぎりの局面が続く中、2日目に入ってしばらくしても形勢は互角で、緊張感が伝わってくる。 そんななか、解説を聞いていると、数値上は互角ながら斎藤八段が手の選択が難しい、持ち時間も1時間ほど差をつけられているが、今は持ち時間よりも盤面を何とかしないと厳しい展開という。その後、手が進むにつれて少しづつ渡辺名人のほうに数値が傾いていき、なるほどこのまま攻めていけば追い込めるのだろうと思えた。

また別の解説者が、苦しくなった斎藤八段が手番で考慮中に、「悪くなった時は悪いことを認めて損害を最小限にする手を指す必要があるが、人間には感情があるので、自分の非を認めるのは難しい。また、耐え忍ぶ展開になっても、少しのチャンスを逃さず反撃しないといけないが、耐え続けていると見逃してしまう」という話をされていた。 いつもいい時ばかりではないので、悪い時の戦い方が拙いと、高い勝率を維持してトップクラスに生存することはできないということだった。

GW明け、なるべく見ないように怠けたまま仕事を進めていたが、ピンポイントで指摘され、墨を飲んだような気分になった。もとはといえば、自分からアドバイスをもらいに行ったわけだし、こういう指摘をもらえるのは実は貴重なので、素直に受け入れて対応することにする。いままでの努力が無駄になる部分もあるが、全部だめになってもだれか死ぬわけではない。

対局はわずかなチャンスをつかんだ斎藤八段が逆転勝ちした。